診療科・部門のご案内
脳卒中の後遺症、頭部外傷、脊椎損傷などが原因で、運動障害の一つに痙縮という症状があります。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくい、勝手に動いてしまう状態のことです。痙縮では、手指が握ったままとなり開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙縮がリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要となります。
ボトックス療法とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができます。ボツリヌス菌そのものを注射するのではないため、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。
ボツリヌス療法によって次のような効果が期待できます。
ボツリヌス療法を行った後、リハビリテーションを組み合わせて継続して行うことで効果が期待されます。
ボツリヌス療法を希望される場合は、門医師、又は玉木医師の一般外来を一度ご受診ください。
「痔(じ)」は軽い人も含めると、日本人の3人に1人がかかるといわれています。 命にはかかわらず、恥ずかしさのため放置されてしまいがちですが、トイレのたびに血がついたり、でっぱりが気になったりと生活の質を大きく落とすこともあります。痔の治療は、「痛い」「時間がかかるので仕事が休めない、長期入院ができない」などとお考えではないですか?
ジオン注は中国で1970年代から使われていた注射薬「消痔霊」の添加物を一部変更した薬で、主成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸(ALTA)です。ジオン注射薬を肛門に注射することで早期に肛門への血流を減少させ出血症状を改善させるとともに、注射された部位の繊維化を起こし痔核のはれ・脱出を抑えます。
痔の御三家は、いぼ痔(内外痔核、脱肛、皮膚痔)、切れ痔(裂肛)、あな痔(痔ろう)です。 このうち過半数を占めるのが痔核です。直腸側(肛門の奥)にできる内痔核と肛門側(肛門の外)にできる外痔核があります。内痔核がひどくなると痔核が肛門から飛び出す脱肛となり、今までは切除手術治療が必要とされていました。 ところがALTA療法(ジオン注)の登場により、この「脱出を伴う内痔核」を切らずに注射することで治すことができるようになりました。なお、外痔核・裂肛・痔ろうは対象となりません。
まず、局所麻酔をして肛門の筋肉の緊張を十分にとります。その上で1つの痔核に対してジオン注を4カ所注射します(4段階注射法)。 20分程度で治療は終了です。注射後の下腹部の重苦しい感じ、一過性の発熱などがないかを見るために1 ~2日間の入院で行っています。食事・内服薬などは当日も含めいつもどおりで行います。排便は翌日から可能です。費用は(国保本人3割負担で)1泊2日で約3万円となります。
期待の治療薬ジオン注は2005年4月に日本でも保険適応され、治療が開始されました。4段階注射法という高度な注射技術と知識が必要とされるため、講習を受け、手技を習得した医師しか治療を行えません。 痔の症状でお悩みの方にはぜひともお気軽にご相談いただけますようにと考えております。脱出を伴う内痔核(排便時に出てくる、あるいは普段から出たままになっているようないぼ痔)でお悩みの方は一度ご相談ください。
睡眠中に呼吸が止まったり(無呼吸)、喉の空気の流れが弱くなった状態(低呼吸)になる病気です。10秒以上の無呼吸もしくは低呼吸が1時間に5回以上ある。または7時間の睡眠中に30回以上ある方が診断されます。
睡眠時無呼吸症候群の診断をするための検査は2種類あります。自宅で行うPSG簡易検査と1泊入院して行うPSG精密検査です。検査はともにセンサーを装着しますが、痛みや負荷を伴うものではありません。まずは簡易検査を行っていただき、結果によって精密検査を受けていただきます。
この検査では、指と鼻にセンサーをつけ睡眠中の呼吸の状態、血液中の酸素濃度などを同時に計測し、無呼吸低呼吸の有無を判定いたします。
センサーを装着し、睡眠いただくだけの簡単な検査です。計測機器をお渡しし夜間ご自宅で検査していただくため、お仕事を休む必要はございません。検査結果は3~4日でわかります。結果説明時に今後の治療方針についてご相談させていただきます。
検査費用は3割の方で約3,000円になります。
測定項目 | センサ装備箇所 | 目的 |
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呼吸 | 鼻 | 無呼吸・低呼吸の判定 |
酸素飽和度 | 指 | 低酸素血症の程度 |
PSG簡易検査よりもさらに詳しく、睡眠の呼吸の「質」を調べる検査です。脳波、筋電図、眼球運動により睡眠の深さ(睡眠段階)、睡眠の分断化や覚醒反応の有無、睡眠構築、睡眠効率を判定し、気流、呼吸努力、酸素飽和度により睡眠状態をトータルに評価するもので、一泊入院での検査となっております。
簡易検査と比較しセンサーの数も多く、入院となるため緊張されるかもしれませんが、普段通り眠っている間に終了いたします。検査開始後も自由にお手洗いをしていただくことは可能です。夕方入院の翌日朝退院のため、簡易検査同様にお仕事を休む必要はございません。
検査費用は3割の方で約21,000円になります。
測定項目 | センサ装備箇所 | 目的 |
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脳波 | 頭皮・額・耳の後 | 睡眠段階の覚醒反応の判定 睡眠障害の検討 |
眼球運動 | 両目の横 | 睡眠段階や覚醒反応の判定 |
オトガイ筋筋電図 | あご | 睡眠段階や覚醒反応の判定 |
呼吸 | 鼻・口 | 無呼吸・低呼吸の判定 |
イビキ | 首 | 上気道狭窄の有無(いびきの有無) |
胸部呼吸運動 | 胸部 | 無呼吸・低呼吸の判定 無呼吸の型の判定 |
腹部呼吸運動 | 腹部 | 無呼吸・低呼吸の判定 無呼吸の型の判定 |
体位 | 胴体 | 体位の判定 |
心電図 | 胸部 | 不整脈の判定 |
酸素飽和度 | 指 | 低酸素血症の程度 |
前脛骨筋筋電図 | 両側の前脛骨筋 | 周期性四肢運動の有無 |