本日十数年ぶりに当院のリハビリスタッフとソーシャルワーカに同行し、私が受け持つ入院患者の家屋評価に参加した。
患者さんは、もともとADL(日常生活自立度)自立で独居生活をしていたが転倒で骨折し、現在当院の回復期リハビリ病棟に入院中の高齢男性。諸事情により、残念ながら病前より大きくADLを下げ、車椅子移動レベルでの帰宅予定となっている。
そこで目の当たりにしたのは、倒れたときそのままの所狭しとモノであふれた居室をテキパキと片付け、家具の配置を決め、車椅子移動での動線を確保していく在宅介護のプロたちのとても「格好いい」姿だった。そう、それは日頃の病棟での姿とはまた一味違った紛れもないプロの仕事であった。
私はスタッフのその「格好いい」姿を、ぼーっと突っ立ってただただ羨望の眼差しで見入っていた。そして、帰りは患者さんが病棟で飲むのを楽しみにしているインスタントコーヒーを賞味期限を確認して持って帰ってくるちゃっかりさ。終始脱帽。
今回のような経験は普段病棟で仕事をしているとなかなか鍛えることができない、「している」ADLと「しなくてはならない」ADLの隙間を埋める想像力の訓練になる。また、このような過程を終えてすでに何もかもが整備されているご家庭にいくため、実は訪問診療をしていても未整備の状態を想像することはなかなか難しい。
今回の訪問を終えて在宅スタッフはいつもこの過程を経て、訪問診療ができる環境をお膳立てをしてくれていることに自然に思いが至った。改めて在宅スタッフに感謝!
(写真は患者さんの許可をいただいて掲載しています。)
院長 玉木千里